PMIのキャリアは、支援側と事業側で別物
支援側は案件を回す仕事、事業側は買った後を生きる仕事です。
同じ「M&A・PMI」でも、立ち位置が2つあります。仲介会社・FAS・コンサルは支援側で、案件の成立や統合計画の策定までを複数社に対して行います。一方、事業会社の中でM&Aを担う人は事業側で、買った会社が計画どおりに伸びるところまでを、自分の会社の数字として背負います。
検索結果を埋めているのは支援側の解説です。ところが当社がお預かりしている15件は、すべて事業側の募集です。見分ける目印は求人票の主語で、「自社M&A」「グループ拡大」といった表記があれば、買う側・伸ばす側のポジションです。
入れ物は「経営企画」と「事業開発」に割れる
15件の内訳は経営企画系7件・事業開発系8件。どちらの畑からも入り口があります。
職種名には全件「M&A」か「PMI」が入っているので、探すこと自体は難しくありません。実像として押さえておきたいのは、その中身が2つの枠に割れていることです。
| 枠 | 件数 | 典型的な任され方 | 合う経歴 |
|---|---|---|---|
| 経営企画系 | 7件 | 本社側。戦略立案・ソーシングから統合の設計まで。数字と制度を握る | 経営企画・事業企画・FAS/コンサル出身で事業側に移りたい方 |
| 事業開発系 | 8件 | 現場側。買った会社やグループ会社に入り、事業を伸ばすところを担う | 事業責任者・事業開発・子会社や拠点の立て直し経験者 |
いま経営企画にいる方も、事業開発にいる方も、職種名を変えずにこの局面へ入れるということです。どちらの枠かは、勤務場所(本社か、買った会社の中か)と、成果の定義(統合計画の完遂か、事業の数字か)で見分けられます。
関わる段階で、仕事の中身が変わる
買う前から関わるのか、買った後から入るのかで、求められる経験が違います。
職種名の括弧の中に、段階が書かれていることが多くあります。「ソーシング〜クロージング」なら買う前、「戦略立案〜実行・PMI」なら一気通貫、「経営支援〜新規事業立ち上げ」なら買った後です。
- 買う前(ソーシング〜クロージング):候補探し・交渉・デューデリジェンス。FASや仲介の経験がそのまま効く唯一の段階です
- 買った直後(統合):制度・業務・人の統合。キーパーソンの引き留めと、変えるもの/残すものの線引きが仕事になります
- その後(伸ばす):買った会社の事業を成長させる。ここは「事業を伸ばす」局面の仕事とほぼ同じです
統合そのものの進め方(最初の90日で何をするか)は「PMIの基本」に分けて書いています。この記事の主題は、そこへ入るキャリアの側です。
M&A経験そのものは、必須になっていない
見られているのは、別の組織に入って制度と数字を作り直した経験です。
買収を最初から最後まで経験した人は市場に多くありません。だから募集側も、M&Aの経験自体を必須にしないことが目立ちます。代わりに効くのが、次のような「作り直した」経験です。
- 出向・転籍先で、業務の流れや管理の仕組みを整え直した
- 統合後の子会社・買収された側で、制度の切り替えを現場として通過した(買われた側の経験も材料になります)
- 不採算の拠点・事業部を立て直した。やめることを決めて実行した
職務経歴書では、この経験を「どの範囲を任され、何を自分で決め、どの数字がどう動いたか」の順で書きます。書き方の型は「事業開発の職務経歴書」、止めた判断の扱いは「兼務から専任に移るとき」にあります。
年収の実像
当社の掲載15件は、下限中央値700万円・上限中央値1,300万円。下限800万円以上が7件です(2026年8月時点)。
幅が出る理由は、段階と枠の違いです。買う前から一気通貫で任せる募集や、グループ全体の投資を担う募集は上限が伸び、統合後の実務に絞った募集はレンジが落ち着きます。業界はIT・SaaSから不動産・社会インフラ・医療まで13業界に散っていて、特定の業界の仕事ではありません。掲載中の実物は「M&Aした会社を伸ばす」の特集から見られます。
よくある質問(FAQ)
PMIの求人は、どうやって探せばよいですか?
M&Aの経験がないと、PMIの求人には入れませんか?
経営企画と事業開発、どちらの職種から応募すべきですか?
事業側のPMI求人の年収はどのくらいですか?
PMIの実務は何から学べばよいですか?
※ 本記事の件数・年収の数字は、当社が2026年8月時点で掲載している求人の集計です。募集の入れ替わりにより変動します。
いまの経験がこの局面のどこで効くか、一緒に整理します。
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