01 | 基本そもそもSTP分析とは
STP分析は、事業を「誰に、どう位置づけて届けるか」を決める型です。Segmentation(市場を切り分ける)・Targeting(狙う区画を選ぶ)・Positioning(立ち位置を決める)の3つを、この順に進めます。
目的は、顧客の頭の中に"特等席"を取ることです。同じ商品でも、「誰にとっての、何番の存在か」が定まっていなければ選ばれません。STPは、その一点を言葉にするための作業です。
02 | 意義なぜ事業開発で効くのか
事業開発でありがちなのは、「多くの人に良いもの」を目指して、結局誰の一番にもなれないことです。全員に向けた訴求は、輪郭がぼやけ、記憶に残りません。
STPは、あえて狙いを絞ることで、特定の誰かの"一番"になるための型です。3C分析で「自社が勝てる一点」が見えたら、それを「誰に、どう名乗るか」という顧客目線の言葉に翻訳するのがSTPの役割。勝ち筋を、伝わる形に変える最後の一手です。
03 | 構造3つのステップをかみ砕く
STPは、次の3ステップを順番に進めます。前のステップの答えが、次の入力になります。
特にPositioningが肝です。ここが「高品質」「使いやすい」のような誰でも言える言葉だと、記憶に残りません。競合が言えない、自社だけの軸を選べるかが勝負です。
04 | 使い方実際の進め方(5ステップ)
- 市場を分ける切り口を、複数出す。1つの切り口に決め打ちせず、「場面」「重視する価値」「使う頻度」など何通りかで分けてみる。
- 出てきた区画の中から、市場の魅力度 × 自社の勝てる度で狙う一つを選ぶ。大きいだけ・勝てるだけ、の片方で選ばない。
- 狙ったセグメントにとっての"一番"を、一言で書く。「このセグメントは◯◯を最も重視する。だから自社は△△で一番になる」と言い切る。
- その一言が競合の言い分と被っていないか点検する。被っていたら軸を選び直す。差がなければ、位置づけになっていない。
- 決めた立ち位置を、一文のポジショニング・ステートメントにまとめる。「(狙う顧客)にとって、自社は、(競合)と違い、(独自の価値)を提供する存在である」。
05 | 活用どんな場面で使うか
- LPやピッチの軸が定まらないとき:STPで「誰の、何番か」を先に決めると、言葉がぶれなくなる。
- 競合と説明が似てしまうとき:Positioningの軸を、競合が言えないものに選び直す。
- 営業やマーケで刺さらないとき:ターゲットを広げすぎていないか、セグメントを絞り直す。
使う順番は、シリーズの締めに位置します。顧客・課題の定義で「誰の何を解くか」を決め、5フォースで「入る市場」を選び、3Cで「自社が勝てる一点」を見極めた後に、STPでそれを「誰に、どう名乗るか」に翻訳する。ここで決めた立ち位置が、この後のメッセージや価格・チャネル(4P)の土台になります。市場選びから訴求まで、STPが最後をつなぎます。
06 | やりがちな失敗とその対策つまずきやすいポイントを、先回りで潰す
セグメントを年齢・性別など人口統計だけで切る
"どんな場面で、何を重視して選ぶか"で切り直す。買う理由で分けると、打ち手に直結する区画になる。
魅力的な区画を欲張って、複数を同時に狙う
まず一つに絞る。一番を取ってから広げる。同時に複数の"一番"は取れない。
ポジショニングが「高品質」「丁寧」など、誰でも言える言葉
競合が言えない軸を1つ選ぶ。差別化は"良さ"ではなく"違い"で作る。
立ち位置を、自社目線で決めてしまう
顧客の頭の中を基準にする。"顧客がどう覚えるか"で言葉を選ぶ。
07 | まとめ全員の一番より、誰かの一番を
STP分析は、市場を切り分け、狙いを絞り、顧客の頭の中に立ち位置を作る型です。全員の good を目指すのをやめ、特定の誰かの"一番"になることを選ぶ。それが、伝わる事業と埋もれる事業を分けます。
まずは狙う顧客を一つに絞り、「(顧客)にとって、自社は(競合)と違い、◯◯を提供する存在だ」という一文を書いてみてください。その一文が、競合には書けない形で言い切れたとき、あなたの事業は"選ばれる理由"を手に入れます。