\n 5フォース分析とは|「その市場は、そもそも勝てるのか」を見極める | BizDev Career
事業開発フレームワーク実践シリーズ | 市場・事業選択

5フォース分析とは
「その市場は、そもそも勝てるのか」を見極める

事業開発でよくある不幸は、良いアイデアを、勝ち目のない市場に持ち込んでしまうことです。需要が大きくても、生まれた利益がすべて外に吸い取られてしまう構造の市場は、現実にたくさんあります。5フォース分析は、参入する前に「この市場は、そもそも誰かが儲かる構造になっているのか」を見極めるための視点です。この記事を読み終える頃には、狙う市場を"雰囲気"ではなく"構造"で選べるようになります。

対象:事業開発/新規事業/事業企画を始める方 ・ 読了目安 8分

01 | 基本そもそも5フォース分析とは

市場の魅力は、需要の大きさだけでは決まりません。多くの人が欲しがる巨大市場でも、利益が手元にまったく残らないことは珍しくありません。カギを握るのは、その市場で生まれた利益を「削りにくる力」の強さです。

この削りにくる力は、大きく5つに整理できます。5フォース分析とは、その5つの圧力を一つずつ洗い出し、「この市場は、利益がどれくらい手元に残る構造なのか」を判定するための分析です。売上が立つかどうかではなく、"儲けが残るかどうか"を、市場の構造そのものから見に行くのが特徴です。

02 | 意義なぜ事業開発で効くのか

新規事業は、最初の市場選びの時点で、勝負の大半が決まってしまいます。強い圧力に囲まれた市場に入れば、どれだけ優秀なチームが必死に働いても、生まれた利益は値下げ競争や仕入れ交渉、代替品との奪い合いに消えていきます。反対に、圧力の弱い一角を最初に選べていれば、平凡な実行でも利益が手元に残ります。

つまり5フォースは、「努力の量」より先に「戦う場所」を正すための視点です。事業開発の初心者ほど、アイデアの良し悪しや実行力にばかり目が向きますが、そもそも構造的に薄利な市場を選んでいたら、その努力は報われにくい。最初にこの一手を打てるかどうかで、その後の数年が変わります。

03 | 構造5つの力をかみ砕く

新規参入の脅威代替品の脅威売り手の交渉力買い手の交渉力業界内の競争
5フォース分析:5つの力が中央の利益を削りにくる

5つの力は、どれも「利益を市場の外へ流出させる圧力」です。それぞれが強いほど、あなたの取り分は小さくなります。

業界内の競争
似た相手が多く、値下げや過剰なサービス合戦になっていないか。プレーヤーが増えるほど利益は削られます。
新規参入の脅威
後から誰でも簡単に入ってこられる(参入障壁が低い)か。うまくいくとすぐ真似され、価格が崩れます。
代替品の脅威
まったく別の手段で、顧客の同じ用が足せてしまわないか。「そもそも要らなくなる」代替は最大の脅威です。
売り手の交渉力
仕入れ先や供給側が強く、コストの主導権を握られていないか。原価を握られると利益は残りません。
買い手の交渉力
顧客側が強く、値下げや品質向上を突きつけてこないか。買い手が一部の大口に偏るほど不利になります。

この5つが「強い」ほど利益は外へ流れ、「弱い」ほど手元に残ります。市場を見るときは、この5方向から同時に押されている、とイメージすると分かりやすいです。

04 | 使い方実際の進め方(5ステップ)

  1. 5つの力を、それぞれ強・中・弱の3段階でざっくり評価する。精緻さより、全体像を素早くつかむことを優先する。
  2. 「強」が付いた力の横に、"なぜ強いのか"を一言だけ書き添える。理由が書けない「強」は、思い込みの可能性が高い。
  3. 「強」の中から、いま最も利益を削っている力を1つだけ選ぶ。すべてに対処しようとせず、主犯を特定する。
  4. その1つに対して、「自社はどう抗うか」を書く。無力化する・避ける・逆手に取る、のどれかで具体策を1つ出す。
  5. どうしても抗えないなら、「この市場は選ばない」という判断も、立派な結論。撤退・見送りを決められることも、この分析の価値です。

05 | 活用どんな場面で使うか

  • 複数の市場候補で迷ったとき:候補ごとに5フォースを並べ、"構造"で横比較する。感覚ではなく同じ物差しで選べる。
  • 「大きい市場だから」と惹かれたとき:その大きさに比例して、圧力も強くなっていないかを冷静に点検する。
  • 参入後に薄利で苦しいとき:どの力に利益を吸われているかを特定し、打ち手をそこに集中させる。

使う順番も押さえておくと迷いません。この分析は、「誰の、どんな課題を解くのか(顧客・課題の定義)」を済ませた後に市場を見るのが正解です。課題が曖昧なまま市場構造だけ見ても、判断の軸が定まりません。そして勝てそうな市場が定まったら、次はSTP/ポジショニングで"どこに立つか"を絞る。5フォースで「入る市場」を決め、次の分析で「戦う場所」を決める、という流れの中の一手です。

06 | やりがちな失敗とその対策つまずきやすいポイントを、先回りで潰す

「業界の説明」で終わってしまう

最後に必ず「だから、この市場に入る/入らない」という判断を1行で書く。分析は結論に接続して初めて意味を持つ。

5つの力すべてに勝とうとして、打ち手が散る

最も強い力を1つだけ選び、そこに論点を集中させる。全方位に薄く対処するより、主犯を1つ倒すほうが効く。

市場を大きく捉えすぎて、圧力が全部「強」になる

市場を狭く切り直す。狭い一角ほど競争も参入も弱く、勝ち筋が見えてくる。まず小さく勝てる場所を探す。

07 | まとめ努力の前に、戦う場所を正す

5フォース分析は、頑張り方を考える前に、そもそも頑張りが報われる場所かを問う視点です。需要の大きさに惑わされず、利益が手元に残る構造かを見に行く。この一手を最初に打てるだけで、事業開発の勝率は大きく変わります。

まずは今検討している市場を、5つの力で一度だけ点検してみてください。そして分析を書き出すだけで終わらせず、必ず「だから、どうする?」まで書ききること。そこまで書いて初めて、この視点はあなたの武器になります。

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事業開発フレームワーク実践シリーズ(全8回)
  1. 5フォース分析(この記事)
  2. 顧客・課題の定義
  3. 3C分析
  4. STP/ポジショニング
  5. ビジネスモデルキャンバス
  6. クロスSWOT分析
  7. AARRR(海賊指標)
  8. OODA・PDCA