LD“ 「提携交渉は最初の15分で決まる」——大手商社アライアンス担当が語る、合意形成のリアルなプロセス | BizDev Career
事例インタビュー

「提携交渉は最初の15分で決まる」——
大手商社アライアンス担当が語る、
合意形成のリアルなプロセス

2025.05.10📖 約12分

「最初の15分で、この交渉が進むかどうかはほぼわかります。」——大手総合商社でアライアンス担当を10年以上務めるKさん(40代)は、開口一番そう言った。

国内外の企業との提携交渉を年間数十件こなし、成功させてきたKさんに、交渉の現場で何が起きているのか、合意形成のリアルなプロセスを聞いた。

1. 商社アライアンス担当のリアルな仕事

「アライアンス担当」という肩書きは、外から見るほど華やかではない、とKさんは言う。

「1日の大半は社内調整です。提案書のレビュー、上司への説明、法務・財務・現業部門との調整。対外交渉は仕事全体の3割くらいで、残りは社内を動かすことに使っています。」

関係するステークホルダーの数も多い。提携1件あたり、社内だけで10〜15名、社外のカウンターパートを含めると20〜30名と調整することも珍しくない。スピードよりも丁寧さが求められる場面も多く、「早く進めたい」という焦りを抑える自制心も必要だという。

NOTE

商社のアライアンス担当に求められるのは「交渉力」だけではありません。社内を動かす調整力、長期的な関係構築、法務・財務の基礎知識、そして「この提携を通じて会社はどこへ行くのか」という戦略的視点の4つが不可欠です。

2. 最初の15分で何を見ているか

「相手がこの交渉を前向きに進めたいと思っているかどうかは、最初の15分で見えてきます。」

Kさんが最初の15分で確認することは、主に3つだという。

① 誰が来ているか

「相手が誰を連れてきたかが最初のシグナルです。意思決定に近い人が来ているかどうか。担当者だけで、上の人がいない場合は『様子見』の段階で、本気度がまだ低い可能性があります。」

② どこに関心があるか

「最初の雑談の中で、相手が何に興味を持って聞いてくるかに注目します。弊社のビジネスの規模感を聞くなら収益シナジーに関心がある。技術や特許について聞くなら技術補完が目的。ここで相手の本音の優先順位が見えてきます。」

③ ペースと温度感

「相手がどのくらいのスピード感で進めたいかも、最初のやりとりで感じ取れます。急いでいる場合は、バックグラウンドに何かプレッシャーがある。焦っていない場合は、こちらが価値をつくるまで待ってもらえる。」

3. 失敗した提携交渉から学んだこと

10年以上のキャリアの中で、Kさんにも「失敗した」と感じる交渉がある。最も印象に残っているのは、海外スタートアップとの提携交渉が土壇場で破談になったケースだ。

「半年かけて交渉を進めて、最終合意の一歩手前まで行った。でも最後の条件交渉で、相手のCEOが急に態度を変えたんです。後から分かったのは、相手は最初から別の大手と交渉していて、弊社との交渉はレバレッジに使われていた。」

この経験から学んだのは「相手の背景を常にモニタリングし続けること」と「交渉の排他性を早い段階で確認すること」だという。

EXAMPLE

その後Kさんが実践するようになったのは、初回面談から2〜3回目の段階で「御社は他社とも同様の検討を並行されていますか?」と率直に確認することです。「聞きにくい」と思うかもしれないが、むしろ誠実さの表れとして好意的に受け取られることが多く、相手の状況を正確に把握できる。

4. キャリアについての考え方

「商社の外でBizDevとして働くことを考えたことはありますか?」という問いに、Kさんはしばらく考えてから答えた。

「考えたことはあります。商社は素晴らしいプラットフォームで、出会える人や案件のスケールは他にない。でも『事業を自分で動かした』という感覚は、商社の中だと薄いと感じることがある。」

商社でのアライアンス経験が外部でどう評価されるかについては、「かなり高く評価される、ただし伝え方が重要」と言う。「商社の仕事は規模が大きすぎて、何をやったか伝わりにくい。自分が何を判断して、何を動かしたかを具体的に言語化できるかどうかが、転職市場での差になる。」

この記事のまとめ

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